JRA秋の最強馬決定戦であるGI天皇賞・秋(11月1日、東京競馬場2000メートル芝)へ向けた最重要ステップレース、第60回GII毎日王冠が11日に東京競馬場1800メートル芝で開催され、横山典弘騎乗の4番人気カンパニー(牡8=音無厩舎)が逃げる1番人気ウオッカ(牝5=角居厩舎)をゴール前で差し切り、さらに1馬身突き放して優勝。
女王斬りで重賞7勝目となった中距離の古豪が、悲願のGI制覇へ名乗りを挙げた。
良馬場の勝ちタイムは1分45秒3。
一方、武豊騎乗のGI6勝馬ウオッカは最後の最後で脚が鈍り、昨年と同じく秋初戦は2着発進。
なお、ウオッカから2馬身差の3着にはカンパニーと同じ8歳馬の10番人気ハイアーゲーム(牡8=大久保洋厩舎)が入った。
まさに会心!
笑顔の横山典が女王ウオッカ撃ちの達成感を語った。
「天気も馬場も良かったし、今日はこの馬にとって一番いい条件。それに厩舎の方たちのおかげで馬の出来も去年とは違っていた。ウオッカを負かしてやろうと思っていたし、負かすなら今日だと思っていましたから」
レースは昨年同様、ウオッカが押し出されるように逃げる展開。
スタンドからはどよめきも起こったが、横山典は冷静だった。
いや、名手はこの展開を読みきっていた。
「このメンバーだったら、ウオッカが行くだろうなと思っていました。僕自身はスタートさえ決まればその後ろにつけていこうと思っていましたから」
道中はインぴったりの4〜5番手。
ゲートでやや遅れたために理想どおりの番手とはいかなかったが、それでも女王を射程圏内に入れる絶好ポジションだ。
最後の直線では外へ出さずに、ウオッカの真後ろへ。
押し切り態勢に入る女王目掛けて虎視眈々と牙を研いだ。
横山典が振り返る。
「この馬はちょっと不マジメなところがあって、ウオッカの後ろでエンジンを吹かして、気合を入れてから追い出そうと思っていました。周りに他の馬がいなかったし、ウオッカだけを見て、カンパニーを集中させてつかまえにいきました」
前が止まらなかったら仕方ない、と腹をくくって追い出した直線坂。
ウオッカが武豊のステッキに応え懸命の粘りを見せるものの、残り100メートルを切ってからは脚色が違っていた。
「今日は僕の馬が強烈でしたね」
ウオッカの上がり3F33秒8に対し、カンパニーはそれをはるかに上回る33秒0!
この“鬼脚”で来られては今回ばかりは女王も白旗を上げるしかない。
「展開もズバリ当たったし、とにかく今日は条件が一番そろっていました。馬の状態も良かったし、すべてがかみ合いましたね」
現役最強のGI6勝馬を撃破しての前哨戦完勝。
当然、次に狙うは秋のビッグタイトルGI天皇賞・秋になる。
2006年から昨年まで3年連続で挑戦し、07年の3着が最高。
昨年もウオッカからタイム差なしの4着に惜敗した。8歳という年齢を考慮しても、今年が最後のチャンスとなるかもしれない。
「天皇賞は今回とは別物だと思っています。距離も2000メートルになるし、コースがトリッキーになる。頭数も増えますからね。今日のようなレースはそう望めないと思います。でも、8歳馬だし今さら課題もない馬。あとは、運があれば勝てると思います」
人馬ともに“円熟の業”を見せ、この日1つの大仕事をやってのけた横山典&カンパニーのベテランコンビ。
この勢いで本番の11月1日秋の盾大一番では、さらなるデカイ仕事――悲願のGI制覇を達成してみせるか。
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